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内田さん

PH23821.jpg

2002.7.14 井の頭公園

男の子の場合、撮影のためにやってきたと自覚していない事がままある。
「今日はバッチリ決めてね!」なんていうお母さんの期待なんてどこ吹く風。

このChihiroくんもそんな気分だったと思う。
もともと男の子は女の子に比べて、自分をかわいく、かっこよく見せることに対する意欲が薄いようだ。
そんなわけで、あまり乗り気には見えなかったが、
乗ってきた自転車にまたがったとたん目に光が宿った。
二輪で走れるようになって間もなかったというのもあり、まぁ、走り回ること・・・。
疾走の姿なんかもフィルムに収めたが、
やはり「決め」も一発撮っておかねばと、場所を選んで停まってもらった。

さて、ここからが大事。勢いのあるポーズでいてくれる時間はせいぜい数秒である。
だからこの格好になる前にカメラの諸々の設定は済ませておく必要がある。
この状態になってから、「えーっと露出は・・・」とか、「フィルムが入ってない」などというのは論外である。
カメラを構えてファインダーを覗いてからは、最後のピントの確認とフレーミングをさっとやって「バシャッ!」。
撮影の準備をしている間に、お母さんやお父さんは、
「ほら、もっとまっすぐ立って!」とか、「もっと笑いなさい!」 とか、ついつい普段の小言モードに入ってしまいがちだが、
そうなると子どもはどんどん固まっていってしまうので、そうならないように準備中も僕から話しかけ続ける。
親御さんには悪いけど、少しバリアをはる感じ。
「その自転車かっこいいねぇ」でも、「今朝、何食べてきたの?」でも何でもいいのだ。
気持ちの糸を手繰り続けておく。
で、準備完了したら一言、「じゃ、イクゾー!、って感じのポーズして」と声をかけ、
瞬間を逃さずにシャッターを切るわけである。

撮影はあくまでも僕と彼の二人の世界だ。
じゃないと、目線がはずれるというか気持ちがこっちに向かってこない。 「氣」が散漫になる。
そういう写真には力がないのだ。