担架続出の運動会

(首都マーレ、学校対抗の連合運動会にて)
首都マーレは7万人の過密都市。
2平方キロの狭い島に、主な小学校が4つ、1つの学校だけで生徒数は数千にもなり、
教室も足りないので、朝の部、昼の部、夜の部と通学時間帯が分けられている。
小学校にも夜学があるわけである。
このマンモス4校の対抗形式の連合運動会なるものが年1回、国立競技場で催されていたのだが、
その中からモルディブ人気質を物語っているのかもしれないエピソードを一つ。
色別のユニフォームを着て学校対抗の徒競走など行われていたのだが、
走っている途中でバタバタと倒れてしまう者が続出、
ボランティア・スタッフを務める青年海外協力隊員は担架での運び出しに大忙しだそうだ。
いったいなぜ? 体が弱い? 猛暑のせい?
わけを知って驚いた。
徒競走でもリレーでも勝負事であるので当然一着の者もいれば、ビリの者もいる。
勝った者は歓声を浴びながら得意げにテープを切り、
ビリの者は健闘を称える会場の温かい拍手に包まれながら頑張る。
しかしそれは僕の常識、モルディブ人の感性は少々異なるようだ。
「ビリッケツ」はあくまで恥ずかしく、観衆も露骨に「あいつカッコ悪いぜぇ」の視線を送り、
ヤジが飛んだり、あざ笑ったり・・・。
当の本人も恥ずかしさでいっぱいで、その精神的苦痛に耐えかねて、
「こっちの方がマシ」とばかりにバタリと倒れ、「もうだめだ、限界だ」の大芝居をうつわけである。
気の毒なのは担架ボランティアである。
「怪我人」をトラックから運び出した途端、
あれほど苦しんでいたヤツがケロッと起き上がり、悠々と立ち去っていくのである。
しかも、それが後を絶たずに続いてゆく・・・。