モルディブ水事情

本格的な海外生活が初めてであった僕にとってモルディブ・ライフは驚きの連続であったわけだが、
そのうちの1つが「水事情」である。
・気候
当然に四季を味わいつつ育った僕にとってモルディブはまるで「季節のない国」。暑いだけなのだ。
でも現地の人たちにとって、そして、僕も一年住んでみてわかったが、やはり季節はある。
「乾季」と「雨季」だ。
非常にシンプルで乾季は3ヶ月も雨が降らなかった。空には雲のかけらもない。降る気配すらないのだ。
それがある日、突然どしゃぶりが降る。雨季の到来だ。するとどうだ。それから10日も雨が降っている。
まぎれもない「雨季」だ。
どっかの気象庁のように、そのことで誰も困っているわけではないのに
「梅雨明け宣言」はまちがっていましたなどと、妙な宣言をする心配もない。
日本の友に「モルディブって気候はどうなの?」と尋ねられた時、
「ひたすら猛暑と梅雨の繰り返しだね」などと答えたものだ。
・地形
モルディブには山がない、自動的に川もない。変なようだが、行ってみればすぐに理解できることだ。
圧倒的に、笑えるくらいに小さな島しかないのだ。
島のメインストリート、交差点に立つと、どの道の向こうにも海が見えている・・・
といえば納得できるだろう。
・水はどうする!
こういう土地で、生活用水はどうするか。
とりあえず、井戸はある。
食器を洗ったり、洗濯したり、水浴びしたり、トイレを流したり、お尻を洗ったり・・・、はできる。
でも一番大事な事だけ「バツ」だ。たいがい「飲めない」のだ!
なぜって? 「しょっぱい」からである。
これだけ島が小さくて井戸も浅くしか掘らないため、
井戸水は海水が適度に混ざったような状態で、これは飲めない。
大雨の後は、「薄まって」真水っぽくはなるけど・・・。
そういうわけで、洗濯も水浴びも大丈夫とは書いたが、僕としては、実は大丈夫でもなかった。
水浴びして石鹸を使ってもあわ立たない、そればかりか、どんどん石鹸が固まっていってしまう。
ベッドシーツも塩分を含むため、シャワー後、ベッドで寝返りを打つと
「ニチャニチャ縲怐vっていう感じでシーツが体に巻きついてくることがあった。
・じゃ何を?
この状況で、考えられる飲み水は・・・。そう、雨水である。
屋根をつたった雨季の雨水を「雨水タンク」(バケツ、タライの場合もある)に蓄えておき、
何ヶ月も続く乾季に備えるわけである。
だから雨水タンクはかなりでかく、2縲怩Rトンの貯水が可能なものもある。
それでも乾季終盤には枯渇することもあるのだが・・・。
余談になるが、雨季入りし、最初にたまった水を飲もうとタンクの蛇口をひねったら、
なかからミミズや各種虫達がボトボト出てきたことがあった。要注意だ。
屋根伝いに雨を貯めるにも降り始めの数分はタンクに落とさずに捨てる。
猫や鳥のふんなど洗い流すためだ。
そして、注意深く貯めた「安全な」水を飲むときの注意事項。
コップを顔の前まで掲げてよく眺めるべし。時々ボウフラがピンピン跳ねている!
・腹をこわさないのか?
と聞かれればこう言う、「こわすに決まってんだろっ!」 。
配属先のユースセンターには何と冷水機があった。
前述雨水タンクに直結&ノーフィルターである。しかし、冷たい!
赴任当時、暑さに参った体を癒すべく、毎日この冷水機ウォーターを飲み続けた僕は、
毎日そのきっちり1時間後、ピリピリ・きりきりとした腹痛に苦しんだ。
そして1ヶ月後、体は順応し飲んでも平気になっていた。
大事なことを書き忘れていた。
雨水の「味」だが、これは保証つき、飲み口がとてもよく、微妙なとろみを感じさせ、
僕の人生のなかでは、最もうまい水だった。
「気持ち」が受け入れれば「体」も受け入れてくれる。
味は文句なし!
・モルディブの天気予報
そんなモルディブならではのエピソード。
日本では雨の予報に「酸性雨度」が付け加えられる事があるが、
ここではさらに踏み込んで
「だから、今日の雨はタンクに貯めずに捨てましょう!」
「今日のは、飲むのに最適ですよ」
などというありがたい情報がテレビのニュースで流れていたものだ。