ビデオセンサーというルール

(モラルの象徴、首都マーレのイスラミック・センター)
ビデオ・センサー(video sensor)って、そんな言葉ホントにあるのかいな。
そんな事まで思った、モルディブの厄介な決まり事。
イスラム教100%の国なので当然なのかもしれないが・・・
モルディブでは、イスラム教の戒律に反するような内容の番組は一切放送されない。
まずいのは、簡単に言えば、お酒やお色気シーンだ。
国内唯一のTV局である「TVモルディブ」の放送する番組は当然この戒律を守ったものである。
最大の娯楽であるインド映画も内容はかなり派手で華やかだが、
わきまえるべきところはしっかりしていた。
そのことをとやかく言うつもりはないが困ったのはビデオ。
僕らが息抜き用に日本から取り寄せたTVドラマや映画のビデオは、あきれるほど念入りにチェックされた。
ここの言葉でいうところのセンサーにかかったのだ。
僕らが日本で当たり前のように楽しんでいるハリウッド映画や日本のドラマは、
イスラム圏では刺激が過ぎることも多いらしく、
検閲に引っ掛かってしまう。引っ掛かるとどうなるか、没収?
いや、ここがモルディブ人の人の良さなのかもしれないが、
テープは平均で半年ほどの時を経て手元にやってくる。ただし、「墨付き」だ。
ラブシーンは抱擁までOK、キスの気配もOK、キスの直前に、画面は「砂嵐」になってしまう。
「北の国から」を見ていて、せつない恋にジーンときている矢先、画面がジャーっとなるわけである。
こちらとしては、一番身も心も乗り出したところでの邪魔なので、本当に失望し腹が立つ。
ちなみに何故か音声は消されていない。
場面によっては、ラブシーンのあえぎ声だけが部屋中に充満することもあり、かえってエロチックである。
センサーを行なうのはNSS(National Security Service)なる国家警察であり、
彼等がこれらのビデオを舐めるように見ながら画面を消している姿を想像すると本当に悔しい。
もっと驚くのはこれらのビデオがなぜ半年もかかってセンサーされるかだ。
丹念な作業と、預かりビデオの本数に人手が足りない、ということだけではないらしいのだ。
噂の域を出ないのだが、NSSの連中はテープを自分の故郷の島に持ち帰り、仲間と楽しんだり、
ひどい場合には、レンタルビデオ屋に「裏ビデオ」として出されているというのだ。
知らず知らずのうちに「 アダルト裏ビデオ」の密輸の片棒をかついでいたのかもしれないのだ。