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明るい島流し

島流しという言葉に僕はなんか暗い湿ったイメージをもっていたのだが、南国はちょっと様子が・・・。

僕のかわいい生徒が

モルディブで担当していた青年センターの写真コースで
生徒のアブドラ・ニハードが急にクラスに来なくなったことがあった。
他の生徒にどうしたのか尋ねると「あいつは悪い奴だ。麻薬で捕まったよ」と笑いながら言う。
あまりに軽く言うので、
「おいおい、冗談にもならないぞ。友達のことをそんな風に言うものじゃない」
とたしなめておいたのだが・・・。

数日後、自転車で彼の家の前を通りかかると、アブドラが笑って立ち話をしていた。
なんだ、やっぱり何でもないじゃないか、と思い
「おい、最近クラスに来ないな」
と言ってやった。
するとアブドラが
「いや、捕まっちゃって今、自宅謹慎中だ。これ、これ、ドラッグだ」
とタバコを吸うような仕草。そして笑っている・・・。
僕はうろたえながらも
「そりゃ、罪が重そうだな。どうなるんだ」
と尋ねた。
  アブドラ 「そうだな島流し15年か、20年だなぁ」
  僕    「エーッ、本当かよ、マーレには戻れないのか?」
  アブドラ 「そうだよ。ずっとその島から出られない」
一応、聞いてみた。
  僕    「大丈夫か?」
  アブドラ 「マッサラネティ(問題ない)」
やはり明るく笑っている。

聞いたところでは、島流しといっても牢屋に入るわけではなく、
その島の島長宅に下宿して下男として働いたりして、ちょっとした「田舎暮らし」らしいのだが、
でも15年じゃねぇ・・・。

ケラ島での話

ケラに赴任していた野菜の協力隊員・荻原さんは、暮らし始めて少し経った頃、
島に結構な数の「島流し者」がいることが分かってきて島長に尋ねたそうだ。
  荻 「この島には島流しになった罪人が結構いるんですね」
  長 「そうだな、あいつと、あいつと、あいつと・・・、8人か。そしてお前で9人目だな」
  荻 「えー、俺は日本政府から派遣されたボランティアだ。罪人じゃないですよ」
  長 「なんだそうなのか。
     頼みもしないのに野菜なんかつくっているから島流しされたのかと思っていたよ」

モルディブの島流しの話でした。
ところで先に登場したアブドラ君のその後。
あの直後に行なわれた大統領選挙で現職のガユームが再選されると、
恩赦の大売出しで、何と「おとがめなし」、チャラになったのでした。

心配した僕は何だったの?