手軽に楽しいスリランカの汽車旅
汽車旅は楽しい。それは海外でも同じ事なのであって、
僕が色々な国を旅するときにはじめに調べるのは駅の場所と運行時刻である。
少年時代の鉄道好きを引きずり続けているようだ。
さて、何度も来ているコロンボ、
海岸をなめるように走るゴール方面の各駅停車に始発フォートから乗った。

出発してほどなく海の景色が開ける。
海岸をなめるようにと言ったが、防波堤で砕ける波のしぶきが僕の顔にかかってくるほどだ。
南国で潮風に頬をなでられながらガタゴトと鈍行列車に身をゆだねる。
視界は青い海と空、しばしの至福を楽しむ。

さらに走るうち、民家が並びが見え始める。
波にさらわれないかと心配になるほど海に近い。
線路も極めて近く、庭の柵代わりといった感じである。
庭の中に線路が通っているようで危険だと思う人もいるかもしれないが、
それどころか住人は線路を庭代わりにしている。
線路を道路代わりに歩く大人に線路の上で遊ぶ子ども達。それを叱るものなどいない。
機関車の運転士もそれほど問題にはしていないようで警笛を鳴らしまくりながらゆっくりと走り抜ける。
窓から人々を眺めていると、食事、洗濯、水浴び、井戸端会議、遊び・・・、
生活のあらゆる風景が次々に目に飛び込む。
こちらが家の中にお邪魔しているような気分だ。
珍しい「外国人」の僕と目が合うと、人なつこい笑顔で手を振ってくれる。
こんなやりとりを楽しめるほど列車はゆっくりだ。
こんなひと時・・・。楽しくないわけがない。旅情満喫である。
次の駅に停まった。迷わずリュックを背負ってホームに下りた。
今、列車で走ってきた線路を今度は自分の足で歩いて戻る。
さっき手を振ってくれた人たちもすぐにわかる。
50mも先から「早くここまで来い!」と手招きしている。
撮影は気持ちよく進む。フィルムの減りも早い。
「写真を送ってくれ」という人には住所を教えてもらう。
お茶を飲んでいけと言われればそれに甘え、
「なんかお菓子くれ」と言われればリュックの中を探し、
どの観光ガイドにも載らないだろう、小さな駅からの幸せな徒歩コースである。
小一時間で隣の駅に到着、今日は疲れたから、今度の機会に次の駅まで歩いてみよう。






